さんぽ人のよもやま話バックナンバー:2003年6月の所感
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■「よもやま話」バックナンバー

>>2003年5月
 

2003年6月の所感

●6月28日

前にお知らせしていた季刊誌『BOOKISH第4号 特集:海野 弘が歩いたモダンシティ』(発行:ブキッシュの会/発売元:株式会社ビレッジプレス)が、いよいよ発売されることになりました。
詳しい内容につきましては、ビレッジプレス社のサイトにあります「BOOKISH」紹介ページをご覧ください。
定価は700円(税別)。
ISBN4-89492-041-7
まぁ、しかし何ですなぁ。海野さんのお名前の下に、私の名前が載っているなんて、エラい時代になったもんだ。長生きはしてみるもんですなぁ〜。


●6月21日

う〜、ついに某書店で見てしまった! 「もう言い訳できんなぁ」とつぶやきつつ、3分間ほど逡巡した挙句、ついに買ってしまった。
何の話かと言うと、今月から「岩波現代文庫」で刊行が始まった、ヴァルター・ベンヤミンの『パサージュ論』のことなんですが・・・。全5巻。その第1巻目を、書店で見つけてしまって、購入したというわけです。
学生時代、少々、ベンヤミンをかじっていたこともあり、また、「都市遊歩(まちなかのさんぽ)」などという趣味を持つ以上、やはり『パサージュ論』は避けては通れない、読まねばならぬな〜、と常々考えてはいたのです。
しかし、私にとってはかなりの難物。最後までちゃんと読破できるか自信がなかったわけです(理解できるかどうか・・・なんて不遜なことは申しません。ハイ)。
実は今まで『パサージュ論』をしっかり”避けて通れた”理由が、ちゃんとあったのです。高かったから。
確かな価格は忘れましたが、岩波書店から出ていた単行本も、やはり全5巻で、1巻が古書でも3000円ほどしたはず。全部そろえたら、やっぱり相当な金額になります。
それに1巻が500ページ以上。通勤電車の中を、最大の読書タイムとする私にとって、これはハンドリングが悪すぎる。しかも現在、絶版になっているようで、手に入りにくい・・・。
まぁ、このような状況をもって、”避けて通る”理由にしていたのですね、私は。
しかし、文庫本で出ちゃった。文庫本と言っても、1巻1400円。痛いなぁ。全部そろえると、7000円かよ。まあエエわ、という感じで購入してしまいました。
大学時代、ちょっと読んだ「パリ---19世紀の首都」など、懐かしい論文も新訳で入っていたり、それなりに読めそうですが、最後まで(もちろん5巻目まで)、しっかし読んでいくには、結構なパワーが必要かもしれません。いつものように複数の書物を同時に読むのではなく、しばらくは、この1冊に集中してみたいと思います。


●6月15日

我が家の近所に新しくできた図書館に行きました。
「何か面白そうな本はないかいな〜」と物色していた私の目にひっかかった本が、一冊。早速、借りてみました。
書名は『小説 田中学校』(光文社)。おやまぁ、あの有名な、戸川猪佐武さんの『小説 吉田学校』の、あきらかな二番煎じですね。誰が書いてるんだ・・・と思ってみてみると、なんと現在、民主党最高顧問(だったっけ?)の羽田孜センセではありませんか(本当にセンセ自らが書いてるかどうかは、ここでは、まぁおいておきましょう)。
正直言って、あまり期待せずに呼んだのですが 、これが意外に面白かった。
ジャーナリストたちが書いた角栄本って、それこそ吐いて捨てるほどあるのですが、そんな本より、よっぽど面白いんじゃないかな。だって、ジャーナリストの本って、だいたい内容の見当がつくものが多いし、論調も結構、ステレオタイプですからね。
やはり当事者のひとりの視点からの記録、ということが、私を引きつけた理由なんでしょう。もちろん、私もすでに青臭いガキではありませんから、この本に書かれてあることが『真実』だなんて、はなから信じちゃいませんが、それをさておいても、興味深かった。
特に、羽田センセや小沢一郎センセが自民党を飛び出し、新生党発足→細川政権樹立・・・あたりは、手に汗握って(ちょっと言いすぎだが)読んだりして。

当然といいますか、この本を書店で見ても、たぶん、99%、買わないだろうな。一期一会ではないですが、図書館で出会ったからこそ、読めた本。ありがたいです。

やっぱり図書館には、行かんとアカンなぁ(しみじみ)。

   
(C) 1996-2003 Takashi Tanei, office MAY