さんぽ人 放浪記・スウェーデン編:オーロラ紀行その2/1998年2月(text by オーロラけいこ/東京都在住)

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■グルメなあなたは・・・

スウェーデンには、日本の「寿司」「天ぷら」のような名物料理がありません。外食の習慣がなかったせいでしょうか?と考えると、日本では昔から外で食事をすることがよくあったのでしょうか?

スウェーデンで一番食べたものは、ハムとチーズです。

ハムは、1週間で1年分ぐらい食べましたね。あと、チーズもたくさん食べた。

スライスチーズが「固まりから切って」スライスしてあり、トムジェリに出てくるような、穴のあいたもので初めて見る形状でした。うまかった。

まず、気候のせいか、食材が日本に比べて少ないように思います(未調査)。

特に野菜・果物。スーパーへ買い物に行きましたが、青果売場のスペースが、日本の同じ規模のスーパーの4〜5分の1程度なのです。

キャベツ、レタス、大きくて肉厚のピーマン(緑・赤・黄)、じゃがいも、小さくて細いニンジン、白ネギ、タマネギなどなど。大根みたいなものもあった。

果物は、洋なし、リンゴ、オレンジは、どこにでもありましたが、野菜も果物も、日本のものより二まわりから三まわりほども小さいのです。大きかったのはピーマンだけ。

種類が多かったのは、腸詰め。パッケージにスウェーデン語しか書いていないので、中身はまったくわからないんだけど。スーパーで買い物をしているときに、とにかく「なんと書いてあるかわからなくて困る」のは、笑っちゃうほどでした。

「そこに、ちゃんと書いてあるのに、一言も読めない」というのはまったく予想もしない出来事でしかも予想できないほどショックなことでした。

グルメな話はどこかへ行ってしまいましたね。


■トナカイについて

トナカイのことは、英語で

 caribou(カラブー) または

 reindeer(レインディー)

と言います。

スウェーデンには野生のトナカイもいるしトナカイの牧場もあります。車で走っているときに、「ほら、トナカイがいるよ」と運転手さんが教えてくれたりします。

トナカイは、食べられます。

牧場というのは、基本的に食用のために育てているのですね。食べ方は、ステーキ・薫製など。一度ステーキを食べましたが、おいしかった!柔らかくて、においもなくて。牛とも豚とも鶏とも、ぜんぜん違います。

◯◯みたい、といえるものが思い浮かびません。

野生のトナカイの寿命は約10年。飼っているものは、15年ほど生きるそうです。繁殖もさせるのでしょうが、訪れた2軒の牧場では「こいつは、掴まえたんだけど、ちっとも言うことをきかない」などと聞き、掴まえに行ったりするようです。

「こどものころからここにいる」ようなヤツは、おとなしく、とても人に慣れています。

掴まえてきて5年ぐらい教えると、ソリを引けるようになるのですが5年経っても、ぜんぜんできないヤツもいます。

牧場の群でもボスがいて、もうおじいさんなのでソリは引かないけれどボスがいると若いヤツらがボスの行く方にちゃんと歩いていったりするので、何かさせるときは、ボスを連れていきます。すぐ怠けるヤツとか、それぞれに性格があって、おもしろい。

角はもちろん工芸品などに使えるし、トナカイの毛皮はとても暖かいのです。

スキー場のスノーモービルは、普通のバイクのようなビニール(?)のシートがもちろんあるのですが上に必ずトナカイの毛皮を敷いています。

氷のホテルのベッドにも、敷いてありました。暖かかった!


■氷のホテル

きょうは、たいへん質問の多かった、氷のホテルについてです。

このところ、日本のテレビや雑誌でとても注目されている氷のホテルは歴史的には新しいものです。

1994年(たぶん)に、ある一人のスウェーデン人が、思いついてつくったのが始まりです。本当です。

1年目は、一部屋だけの巨大かまくらのようなものでした。それが年を追うごとに増殖し、今年はなんと40部屋近くありました。

リビングルームやバー、映画館もあります。建物はもちろん、シャンデリア、椅子やテーブルなどすべての調度品も、雪と氷でできています。

ホテル内には、白一色しかないようなものです。氷のテレビ、電話、チェス盤のほか、暖炉もあり、とてもナンセンスで素敵です。

バーではお酒(ワインなどは凍ってしまうので、スピリッツのみ)が飲めます。グラスも氷です。20・程度の高さの立方体の中をくり抜いて、中に鮮やかな色のリキュールを入れるとても美しく、幻想的です。

でも手袋なしでは持てません。

室内の温度はマイナス5度。しかし屋外はマイナス30度なので、中に入ると思わずほっとしますが、長時間いるのは、かなりつらいものです。

みるみる身体が冷えていくのを感じます。

あぁ、こうやって凍死していくのね…


■氷のホテルその2

前回の、氷のホテルの話題に対して、「風呂はどうなっとんじゃ?」という反応を複数いただき、日本人の生活には「入浴」が密着していることを実感しました。

さて、スウェーデンでは、比較的最近まで、入浴の習慣がありませんでした。

50年ほど前までは、大半の人が、スウェーデンで「ユール」というクリスマスイブの日に、1年に1度だけ身体を洗い清めるような生活習慣でした。

森林資源が貴重なので、気安くお湯を焚いたりできなかったそうです。

今でも、日本式の、お湯をはって入るお風呂はほとんどなく、基本的にはシャワーのみです。そのかわり、サウナは有名ですね。残念ながら、わたしはサウナが苦手なので、北欧のサウナがどのようなものか、ご報告できません。

   
(C) 1996 Takashi Tanei, office MAY